治療バリエーションの増やし方~視覚システムの治療応用~ 

治療バリエーションの増やし方 視覚システムの治療応用

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理学療法士のhamako()です。

今回は視覚システムの治療応用について考えたいと思います。

視覚というと一般的に開眼・閉眼といったイメージが強いですが、少し踏み込んで勉強すると治療や評価に役立つ視点が得られたので紹介しますね。

 

視覚システムに関わるのは光情報

環境の中に内在する情報源としては

  • 重力
  • 匂い
  • 温度

などがあります。

その中でも視覚に関わる情報源はです。

この光学的変化による情報源が私達が生活する上でとても重要となります。

明るい暗いはもちろん、近い遠いが分かるのも光学的変化によるものです。

 

オプティカルフロー

ヒトや動物が三次元的な環境の中で移動することにより網膜像に一定の動きのパターンが生じる。このような動きのパターンはオプティカルフローとよばれる。オプティカルフローは動いているヒトや動物の運動方向、視線の方向や環境の三次元構造によって変化する。

                                                                                                                                            西野仁雄・柳原大 運動の神経科学 NAPLimited 2000

 

文章だけだと分かりにくいですよね。

ドライブシュミレーターやゲームセンターの車のゲームなど思い浮かべるとイメージしやすいかと思います。

あたかも自分が進んでいるかのように感じますよね。

あとは隣の電車が進んだ時に自分の電車が動いたと錯覚したことはないでしょうか?これもオプティカルフローの影響です。

オプティカルフローが生じ自分が動いているかのような錯覚陥る状態のことを

視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)

といいます。

肌理の変化

今から急にお肌の話になります。

というのは冗談です。

肌理とは

ものの表面のこまやかさ。しわや凹凸のなさ、少なさを意味する表現  

                                                   引用元:weblio辞書

なので皮膚の肌理も同じ意味ですね。肌理が細かいとは凹凸がすくなくなめらかなこと、肌理が粗いとは凸凹している、段差がはっきり分かるなどのようです。

視覚情報の肌理ということを考えると近くの物ほど肌理が粗く(大きく見える)遠くのものほど肌理が細かい(小さく見える)ということになります。

この肌理の変化により私達は近い物・遠い物などの距離感や自分が動いているスピードを判断しています。

治療応用

オプティカルフローや肌理の変化がどう治療に役立つかということを紹介したいと思います。

電車に乗っている時(電車の例が多いでので電車オタク疑惑が出るかも・・・)山を見ているとあまり動いていませんが、近くの電信柱がピュンピュン通りすぎますよね?これはみなさん体験したことがあるかと思います。

情報源で考えると近くの電信柱は自分が移動しているという情報源になりますが、山は自分が移動しているという情報源にはなりにくいのではないかと思います。

ということは・・・

  • 歩行練習をどの場所どうする?
  • プラットホームのどの場所で治療すれば良い?
  • 車いす座位や端座位時の環境設定はどうする?
  • セラピストはどの位置に立ち介入すれば良い?

などを考える必要があるのではないかと思います。

 

もちろん独歩の方でもこのことについて考える必要はあるかと思いますが、

特に

  • 車いすに座ったまま身体を固めるようにし自分で動き出せない方
  • 介助や誘導に対し抵抗を示すような方
  • 手すりやベッドなどの支持面を強く握りしめたり押し付けたりして姿勢を安定されている方
  • 歩行時に常に下を向いている方

このような方は下記に挙げるような工夫を是非していただけたら良いではないかと私は思います。

歩行練習の場所

近くに物や壁がある場所を選んであげると良いと思います。壁や物からオプティカルフローの情報が得られ、自分がどれくらいの距離・スピードで移動しているということを感じとりやすいです。

周囲に何もないど真ん中を歩くのは避けましょう!

前は難しかったけど前後比較の評価として試すのは良いと思います。

プラットホームのどの場所で治療するか

壁や隣のプラットホームが近い場所を選択するのが良いと思います。

目の前に何もない場所は避けましょう!

車いす座位や端座位時の環境設定

車いすでは、カットアウトテーブルを使用することをオススメします。カットアウトテーブルを使用すると床や足元が隠れます。自分が動こうとするとカットアウトテーブルで見えなかったものが見える=自分が動いたという情報になります。

もちろん前方に身体が振られない安心感や上肢の管理が行えることもメリットです。

端座位時も同じように前方にアダプターテーブルなどを支持物として使用せずに置くだけでも良いと思います。テーブルなどがない場合には乗っていた車いすを近くに置いてあげるだけでも良いかと思います。

上記の例にあげたような患者さんは前にいくことを怖がっていることが多いです。私達には何事もないように見えても患者さんのように身体機能や知覚システムに問題がある場合には崖のように感じておられるかもしれません。

セラピストの立ち位置

セラピストも環境の一部です。前方介助になるとセラピストの身体がテーブルと同じような役割を果たします。自分が動くことでセラピストで見えなかった部分(奥行き)まで見えるようになる=自分が動いているということになります。

セラピストが前方から誘導するのか側方から誘導するのか、はたまた後方か

視覚システムのことを踏まえて立ち位置を変えるなんてことも重要かもしれませんね。

まとめ

オプティカルフローや肌理の変化など視覚システムを知ることで環境設定や介入の場所などを深く考えるきっかけになれば幸いです。

参考図書

  • 運動の神経科学:西野仁雄・柳原大 NAPLimited 2000
  • アフォーダンス入門~知性はどこに生まれるか~:佐々木正人 講談社学術文庫 2008

 

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