パーキンソン病 脳深部刺激療法(DBS)について

パーキンソン病 脳深部刺激療法(DBS)について

スポンサードリンク




理学療法士のhamako()です。

パーキンソン病の外科的手術で用いられることが多い脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:以下DBS)についてまとめてみました。前回と前々回の記事の腰曲がり姿勢やジストニアにも効果があることで知られています。

前回記事(ジストニア)☞こちら

前々回記事(腰曲がり)☞こちら

脳深部刺激療法(DBS)の歴史

  • 1973年 Hosobuchi                 視床刺激術(痛みの治療目的にて)
  • 1987年 Benabid、Siegfried   視床刺激術
  • 1992年 Siegfried                    淡蒼球刺激術
  • 1993年 Benabid                     視床下核刺激術
脳深部刺激療法DBS

 

手術適応

  1. 薬剤抵抗性の振戦
  2. レボドパ治療に伴う薬効時間の短縮
  3. 薬剤性ジスキネジア
  4. 副作用で薬剤を増量できない症例
  5. 片側症状が強い症例

 

ターゲットの選択

 STN-DBS:

薬物治療が複雑化している症例、幻覚などの副作用のために薬剤の減量を必要とする症例※減薬による鬱など非運動症状が増す例では減薬できないこともあり※遂行機能障害や言語流暢性が低下する例もある

 GPi-DBS:

少量の薬剤でジスキネジアやジストニアが起こりやすい症例や高齢者認知機能低下例など精神神経学的合併症の危険性が高い症例

 Vim-DBS:

振戦に対する効果大。難治性振戦のある症例

 PPN-DBS:

すくみ足などの歩行障害のある症例(症例少ないため、エビデンス不十分)

 

DBSの作用機序

○ 現在のところ、まだ明らかではない

抑制仮説:

  1. 脱分極ブロック
  2. 抑制性入力線維や抑制性介在ニューロンが刺激されたことによるもの
  3. 入力線維が逆行性に刺激され、標的ニューロンがブロックされたことと同じ効果

 

興奮仮説:

局所のニューロンを興奮させる考え方。視床下核の高頻度刺激により淡蒼球内節の発射頻度が増加し、PD症状回復の報告あり。高頻度刺激が発射パターンを規則的に変化させ(強制的な脱同期)病態を改善させると考えられる。

 

発射パターン仮説:

PDでは大脳基底核のニューロン活動が発振・共振するため情報処理が阻害され、そのような発振が視床を介して大脳皮質に伝達されPD諸症状が起きると考えられる。

 

DBSの術後経過

  • 1期:微小破壊効果期 電極埋め込みによるオフ感の消失
  • 2期:初期調整期 オフ感の再発から至適条件の決定、薬物調整の安定まで
  • 3期:刺激安定期 刺激条件と薬剤量の安定化
  • 4期:再調整期 体軸症状の悪化、オフ感の自覚
  • 5期:後期維持期 姿勢反射障害の進行

※STN-DBS、Dpi-DBSともに3~6年にわたり、有効性が維持される。

 

DBSにおける注意点

  •  不意の刺激消失

 電磁波の影響をうけるとオン、オフが切り替わる。オフとなると振戦がすぐに再発する。20~30分以内に無動症状が出現する。

  •  心電図や脳波

 刺激ノイズが混入しないように、記録中は患者用プログラマで刺激をオフにする。短時間であれば問題なし。

  •  超音波

 機器を破損する可能性あり。心臓超音波検査では胸部の刺激装置に直接あたらないようにする。

  •  超短波療法、極超短波療法

 電極が発熱し、周辺組織を損傷して患者に重大な傷害を及ぼす危険あり。刺激装置を破壊する恐れあり。

  •  MRI

 脳内リードの発熱の恐れあり。MRI設定が必要。

  •  手術

 

DBSにおける刺激効果

 視床下核刺激で改善が期待できる効果

  • オフ時(レボドパ薬効消退時)の運動症状

※オン時にみられるレボドパ抵抗性の運動症状には改善が期待できない(すくみ足、突進現象、バランス障害、呂律障害、流涎、声量低下など体軸症状に多い)

  • 減薬は第二の目的

wearing offを改善させるため、術後はレボドパを優先的に減量し、必要に応じてドパミン受容体刺激薬を増減する。全体ではレボドパ換算で50~60%減量できる。レボドパを減量し、視床下核刺激に肩代わりさせることでジスキネジアが生じにくくなる。

 

DBSによる副作用

構音障害、体重増加、うつ、開眼失行、ジスキネジア、怒りっぽくなる、衝動制御障害の悪化

 

余談

DBSを施行された後、調子が逆に悪くなる患者さんもおられました。セカンドオピニオンで他病院を訪れたところ刺激部位が数mmズレていたそうです。調整後車いす介助レベルであった患者様が屋内歩行自立まで変化しました。しかし、DBS手術から3年程経過し車いす生活が長く続いており、認知面も低下していたため劇的なADLの回復とまでは至りませんでした。

このようなケースもあるので、もしDBS後調子が悪くなる患者様がおられましたら、本当はPTは言えない立場なのでしょうけど、うっすらとセカンドオピニオンを勧めてみることも必要かもしれません。

DBSを施行されている患者様を担当する際に少しでも参考になれば幸いです。

以上、理学療法士のhamako()でした。

スポンサードリンク




コメントを残す