パーキンソン病 腰曲り姿勢について

パーキンソン病 腰曲り姿勢について

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理学療法士のhamako()です。

パーキンソン病の症状の1つに腰曲り姿勢があります。

パーキンソン病になると前屈姿勢を呈しますが、前屈姿勢(stooped posture)と腰曲り(Camptocormia)は区別されます。

腰曲りとは

腰曲りとは、座位、立位、歩行時で体幹が前屈し、臥位では消失するという姿勢特異性のある病態

        Postural deformities in Parkinson’s disease.(Doherty, 2011)

昔は精神疾患が原因とされていた。Bent spine syndrome もしくはCamptocormiaとして、文献に散見される(主には後者で使用されることが多い)

腰曲りは姿勢異常の一つであり、前屈姿勢(stooped posture)のより進行した状態として扱われる

        Postural deformities in Parkinson’s disease.(Doherty, 2011)

 

腰曲りの定義

腰曲りは立位にて45°以上の前屈姿勢とされる

Camptocormia: pathogenesis, classification, and response to therapy.(Azher, 2005)

しかし、体幹の測定指標など、明確な定義はない。

腰曲りの診断

医師により臨床診断された後、体幹前傾角度を測定する。角度による測定:肩峰-大転子間と垂線の角度

Camptocormia in Parkinson disease: an epidemiological and clinical study.(Tiple, 2009)

その他腰曲りの程度の評価としては

L5(殿部)からの垂線とC7からの垂線との距離、身長、スパイナルマウスなどで行われることが多いです。

 

腰曲りの疫学

パーキンソン病患者の中での発生率は約3~18%で、パーキンソン病患者の腰曲がりは他疾患と比較し多いとされている。また、アジア人女性が多い

腰曲りの原因

パーキンソン病に起因して腰曲りが生じるメカニズムは未だ明らかにされていない。主に中枢性末梢性に分かれる

Presentation, etiology, diagnosis, and management of camptocormia.(Finsterer, 2010)

末梢性病変

  • 軟部組織変性
  • ミオパチー
  • 脊椎の退行変性

腰曲り群は、傍脊柱筋の萎縮、脂肪変性に有意差あり

Camptocormia and Parkinson’s disease: MR imaging.(Bonneville, 2008)

 

中枢性病変

  • 固縮
  • ジストニア
  • 固有感覚の異常
  • 中脳領域の萎縮程度は、腰曲りの有無で差はなし
  • 腰曲り群でleukoaraiosis(白質希薄化)と血管変性の傾向あり
  • 被殻、尾状核、視床も腰曲りに関与する可能性あるが未実施

Camptocormia and Parkinson’s disease: MR imaging.(Bonneville, 2008)

 

腰曲りの治療

  • DBS(脳深部刺激療法)
  • GVS(前庭電気刺激)
  • ボトックス注射
  • リドカイン注射
  • リハビリテーション
  • 装具(体幹装具)

などが挙げられています。

私が担当した腰曲りを呈したパーキンソン病患者さんは入院前に腹直筋へのボトックス注射で腰曲りが増強し、屋内ADL自立レベルであった方が注射後に一時期ではあるもののADL全介助となったという話も聞きました。エビデンスに関してもまだ確立されていないようです。

リハビリテーションや装具に関しては腰曲りによって生じた二次的な問題(筋力低下、可動域制限、アライメント不良、疼痛)などに対する治療、進行の予防することはできますし、ボトックス注射やリドカイン注射とリハビリテーションの併用により更なる効果が期待できるものと思われます。

私の臨床の経験談

上記に挙げた内容以外に私の臨床経験で感じている腰曲りのタイプは2つあります。1つ目は体幹筋が低緊張のタイプ(いわゆるコアマッスルの筋緊張低下)、2つ目が体幹筋が高緊張のタイプ(ジストニアがこれにあたるかと思います)です。

低緊張タイプ

低緊張タイプとは他動的にある程度体幹を起こせてもそこで支えられず、グラッと崩れます。もちろん、パーキンソン病なので低緊張だけでなく肩周囲や頸部には固縮の症状もありますが、腰腹部に関しては低緊張の要素が強い方です。

そのような方はコアマッスルの活性化を図ると症状がリハビリテーションでも改善することを経験しています。

  • 深呼吸(胸郭の可動性改善とインナーマッスルの賦活)
  • 吹き矢やビロビロ
  • 低緊張筋の筋紡錘への刺激による筋収縮の促通

体幹より上の重さを支えれることが難しくなっているため、POPOなど免荷装置を利用してながらの深呼吸や筋収縮の促通なども有効かと思います。

 

高緊張タイプ

高緊張タイプは背臥位では真っすぐ寝れるのに(可動域制限はない段階)座位や立位では自動でも他動でも体幹伸展することに鉛のような重さを感じます。いわゆるインナーマッスルは低緊張で活動しにくい状態であるが、アウターマッスルの高緊張(腹直筋や外腹斜筋のジストニアなど)が強すぎてアプローチできないといった印象を受けます。

このタイプはボトックス注射やリドカイン注射などの局所麻酔薬の施注で劇的に変化することがあります(ボトックスの場合は悪くなるケースも経験していますが・・・)ので、高緊張で腰曲りの原因となっている筋肉をボトックス注射やリドカイン注射で緩め、低緊張タイプと同様の治療も継続していくことも有効であると感じています。

以上、理学療法士のhamako()でした。

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