ロコモティブシンドロームとは?知っておくべきチェック方法と予防体操

ロコモティブシンドロームとは?知っておくべきチェック方法と予防体操

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理学療法士のhamako()です。

「ロコモティブシンドローム」ご存知でしょうか?最近健康ブームでメディアでも取り上げられることが多くなってきました。そのロコモティブシンドロームについて解説したいと思います。

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームとは別名「運動器症候群」といいます。

ロコモティブシンドロームは骨、筋肉、軟骨、椎間板といった運動器のいずれかもしくは複数に障害が起こり「立つ」「歩く」といった基本動作の能力が低下している状態です。

進行すると要介護や寝たきりになるリスクが高くなると言われています。

ロコモティブシンドロームは移動能力の低下を反映していますので、当然ながら転倒しやすくなります。寝たきりや要介護の原因として大腿骨頸部骨折を中心とした骨折関連が10%を占めています。

要介護状態になると食事や排泄、着替えや入浴といった日常生活動作が一人では行えなくなります。終日横になって過ごし、活動量も大きく低下します。高齢者は、そうなると特に身体機能だけでなく精神面もみるみる衰えて、認知症のリスクを高めることにも繋がります。

 

ロコモティブシンドロームを招く代表的疾患

以下はロコモティブシンドロームを招く代表的疾患です。

  • 変形性関節症
  • 変形性脊椎症
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 骨粗鬆症
  • 各種骨折

などが挙げられます。

これらは、運動量や筋肉量が低下すると起こしやすい疾患であるためロコモティブシンドロームが引き金となる疾患とも言えるかもしれません。

 

ロコモティブシンドロームがリハビリでの回復に影響?

元々ロコモティブシンドロームだった方は、怪我や病気をするとそれをきっかけとして一気に要介護や寝たきり状態になってしまう可能性は高いです。

要介護や寝たきりになるには、怪我や病気の程度が大きく影響しますが、元々の身体機能が悪い方(ここでいうロコモティブシンドローム)はリハビリの過程でどのようなことが生じるかと言えば

  • 怪我したり麻痺している逆側の足も弱くうまく立てない
  • 姿勢も悪くバランスが良くない
  • 良い側でも代償できないので運動量が減り、リハビリの進みが悪い
  • 栄養状態も悪く筋肉がつくスピードが遅い
  • 疲れやすく負荷を増やせない

といったことが起こります。

リハビリが上手く進まなかったり回復が遅いのは、今回の怪我や病気のせいだけではないのかもしれません。

既往歴や生活歴の聴取は重要

 

こういった理由でロコモティブシンドロームは要介護や寝たきりの予備軍と言われてるんですね。

でも、病気や怪我をしていない方は「運動なんてめんどくさい」「運動しないといけないのは分かってるけど、まだ怪我や病気してないし」と思っているはずですから(私の思い込みならすいません・・・)、ロコモティブシンドロームになると怪我や病気の治るスピードが遅くなり要介護や寝たきりのリスクが上がるということを理解して今からしっかり予防しておきましょう!

 

このロコモティブシンドロームは健康寿命を延ばしていくための取り組みとして2007年に日本整形外科学会から提唱されました。

健康寿命

日本は現在世界トップクラスの長寿国となっています。

平均寿命は

  • 男性:80.98歳
  • 女性87.14歳        

2016年現在 厚生労働省 簡易生命表より

しかし、健康寿命との差は男性で平均9年、女性で平均13年(平成22年のデータ)あり、その期間は要介護もしくは寝たきりになるということです。命は維持していたけど、健康的とはいえなかった期間です。

この差が男女ともに10年近くあるのは平均寿命がトップクラスの国々の中で日本だけです。

健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと 

                     wikipediaより引用

しかも、平均寿命と健康寿命との差は大きく縮まっていないんです。

2013年~2016年の3年間の平均寿命と健康寿命の伸び率(簡易生命表と国民生活基礎調査の結果から)

  • 健康寿命:男性0.95年 女性0.58年
  • 平均寿命:男性0.77年 女性0.53年

要介護や寝たきりになった方にとってはつらい期間です。できるだけ病気をせずに、健康的な身体で生活できる期間を長くする必要があります。

 

ロコモティブシンドロームの原因とチェック方法

ロコモティブシンドロームの原因とチェック方法

ロコモティブシンドロームの原因

ロコモティブシンドロームの原因としては運動習慣、生活習慣が挙げられます。

例えば

  1. 運動するのが面倒で休みの日は家でゴロゴロしている
  2. 仕事はデスクワークが中心で、日中ほぼ座っている
  3. ときどき膝や腰が痛むが、我慢できる範囲なのでそのままにしている
  4. 睡眠時間が不規則で栄養も偏りがち

などは危険パターンです。

いかにも身体が弱っていきそうな生活ですね。しかし、ほとんどの人が「今の生活には支障がないし大丈夫」と思っていると思います。

でも症状が進行してしまってからでは遅いのです。

 

症状が進行すると

  • 痛みが強く運動しようと思ってもできない
  • 運動しても正しい運動方法で行えない
  • 転倒しやすく、運動するのが恐い

といった悪循環に陥ります。

そのため、ロコモティブシンドロームかも?と気づいた時点で予防対策することが重要なのです。

骨、筋肉、関節の機能低下の原因と悪循環

  • 筋肉
  • 関節

これらの機能低下の原因は各々単独ではなく、それぞれが密接に関わりあっています。

加齢によって筋肉の合成と分解のバランスが崩れ、徐々に筋肉量が低下しますが、これが関節のサポートの減少に繋がります。

これが運動不足による肥満とあいまって、さらに関節への負担を増し結果として関節に炎症を起こします。

こうしたことから、

  • 運動量の減少→肥満
  • 運動量の減少→関節への負担増

となり悪循環が生じます。

さらに筋肉量が減少すると、バランス力が低下し転倒のリスクが増え、さらに骨強度が低下していると転倒の際の骨折のリスクが高まります。

一度骨折すると治癒までの間、運動量が減少することから、筋肉量の低下を招き更なる悪循環へと繋がります。

このように運動量の減少、筋肉量の低下はロコモティブシンドロームの入口となるため、運動量・筋肉量の維持・増加がロコモティブシンドローム予防に重要となります。

ロコモティブシンドロームのチェック

以下の項目が行えない場合は要注意です。

ロコモティブシンドローム予備軍かもしれませんし、すでにロコモティブシンドロームかもしれません・・・。

  1. 片脚立ちで靴下が履けない
  2. 家の中でつまづいたりすべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

日本整形外科学会 ロコモティブシンドロームパンフレットより

 

また、ロコモ度テストとして

  1. 立ち上がりテスト(下肢筋力のテスト)
  2. 2ステップテスト(歩幅のテスト)2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値
  3. ロコモ25(身体の状況・生活状況のテスト)

があります。

判定方法は

ロコモ度1:筋力やバランス力が低下し移動機能の低下が始まっている

  • 立ち上がりテスト:どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない
  • 2ステップテスト:2ステップ値が1.3未満
  • ロコモ25:7点以上

ロコモ度2:移動能力が低下し自立した生活ができなくなるリスクが高い

  • 立ち上がりテスト:両足で高さ20cmから立ち上がれない
  • 2ステップテスト:ステップ値が1.1以下
  • ロコモ25:結果が16点以上

となります。

詳しい方法は日本整形外科学会ロコモティブシンドロームパンフレットをご参照ください

パンフレットはこちら

 

ロコモティブシンドロームの予防体操・運動

ロコモティブシンドロームの予防体操・運動についてですが、書籍でも多くの運動方法が紹介されています。しかし、40歳代と70歳代では現状の身体機能の違いますし、関節の痛みの有り無しでもできる運動が限られてくる場合があります。

現在の身体機能に合わせて運動を行うことが重要ですので、ロコモ予備軍、ロコモ度1・2の3段階のレベル別に分けて紹介したいと思います。

ロコモ予備軍

ここでは、ロコモ度チェックでは引っ掛からなかったが、生活習慣・運動習慣には問題がある方をロコモ予備軍とします。

このレベルの方はまだ、日常生活には支障はきたしていませんが、5年後10年後にはもしかしたらロコモティブシンドロームになっているかもしれません。

運動メニュー

①速歩き・大股歩き

ウォーキングで最初は15分を目安に行ってください。歩くスピードを上げ、なおかつ大股歩きをすることで多くの下肢の多くの筋肉を使うことができます。腕を大きく振ることで体幹や肩甲骨なども動き全身運動となります。また、心肺機能を高める効果も期待できます。

ウォーキングの時間が作れない方は日常生活で歩行するスピードを上げ、大股で歩くよう心掛けてください。

②地面に手をついてのスクワット

スクワット スクワット

地面に手をつきお尻を挙げます。この時頭は下げてください。お尻を挙げた時に手が離れないように注意しましょう。20回×2セットを目安に行ってください。

  1. 太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の強化
  2. 太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)背中(脊柱起立筋・広背筋)のストレッチ
  3. 腕で身体を支える筋肉の強化(前鋸筋・上腕三頭筋など)

などの効果があります。

 

ロコモ度1

ロコモ度1の方は筋力低下、バランス能力の低下が始まっている方です。もしかしたら、関節に痛みなどが生じている方もいるかもしれません。

負荷量を間違えると逆に関節を痛める結果となるため注意が必要です。

運動メニュー

①ウォーキング

速歩き・大股歩きが行えると良いですが、負担が大きい場合は以下のポイントを意識し15分程度ウォーキングすることをお勧めします。

  • 踵から地面に着ける
  • 地面を後ろに蹴って進む(親指で地面を蹴る、股関節を後ろに伸ばす)
  • 視線は2~3m前方を見る
  • 自然な形で背筋を伸ばす(天井・空につむじが引っ張られるように)
  • 腕は後ろに大きく振る

これらのポイントを満たすと良い姿勢で歩くことができます。

②いすに手をついてのスクワット

スクワット スクワット

上記の「床に手をつくスクワット」の負荷を減らしたメニューです。20回×2セットを目安に行ってください。

 

ロコモ度2

ロコモ度2の方は、移動能力が低下し自立した生活ができなくなる可能性が高い方です。ここまでくると、体力の著しい低下、変形性関節症などの関節の異常などの症状が出ていてもおかしくないと思います。骨折はしていないけどよく転倒するといった方もいるかもしれません。

そのような方は体力も低下、痛みも出ているので無理な運動は逆効果となる可能性が高く、運動中に転倒する可能性もあるのでロコモ度1の方よりも更に注意が必要です。

そのため、全身運動だけでなく以下に紹介するような関節を部分的に動かすような練習も取り入れることをお勧めします。

①ブリッジ

ブリッジ

ブリッジのポイント

  • 上げる時は尾骨→骨盤→腰→肋骨 息を吐きながら
  • 一番上で息を吸う
  • 下げる時は肋骨→腰→骨盤→尾骨 息を吐きながら
  • 全体を通して滑らかにリラックスして行う

お尻(大殿筋)やもも裏(ハムストリングス)、腹筋の筋力強化、背骨を柔らかくする効果などがあります。20回×2セットを目安に行ってください。

骨盤起こし

骨盤起こし 骨盤起こし
  • おへそをのぞきこむ感じで猫背をつくる
  • おへそを斜め上に引き上げる感じで骨盤を起こし背筋を伸ばす

*背もたれにもたれない習慣をつけることで生活がトレーニングになります

股関節や背骨を柔らかくし、腹筋・背筋・股関節まわりの筋肉を強化することができます。20回×2セットを目安に行ってください。

 

 ここで挙げた運動はほんの一例ですが、元々変形性関節症などの関節疾患に限らず、高血圧や糖尿病などの疾患のある方は主治医に相談し行ってください。
痛みが強くなったり調子が悪くなった際には病院を受診してください。

 

生活習慣の改善

運動に加え、生活習慣の改善も重要なポイントとなります。

例えば

〇仕事はデスクワークが中心

→背もたれにもたれないよう作業する

〇睡眠時間が不規則で栄養も偏りがち

→睡眠時間の確保、規則正しい食生活

高齢者は特に筋肉と強くする栄養源であるタンパク質(肉・魚・卵・豆類など)が不足しやすい
  • 運動
  • 睡眠(休息)
  • 食事(栄養)

生活する上でこの3つをまんべんなく適度に行うことが重要です。

 

 

ロコモティブシンドロームとサルコペニア

サルコペニアは広義では

  • 加齢
  • 疾病
  • 運動不足
  • 栄養不良

などによって体内の筋肉量が著しく低下する現象のことをいいます。

ギリシャ語で「サルコ」は筋肉、「ぺニア」は減少を意味しています。

サルコペニアの原因と分類

原因

高齢者の体内ではタンパク質による筋肉の合成と分解のバランスが崩れることが原因だと言われています。

分類

①一次性サルコペニア

  • 加齢性サルコペニア:加齢以外の明らかな原因のないもの

②二次性サルコペニア

  • 活動に関連するサルコペニア:廃用・寝たきり・生活習慣など
  • 疾患に関連するサルコペニア:重症臓器不全・炎症性疾患・悪性腫瘍・内分泌疾患など
  • 栄養に関連するサルコペニア:低栄養・吸収不良・消化管疾患などに伴うカロリー不足・タンパク質不足など

 

ロコモティブシンドロームとサルコペニアの違い

この2つすごく似ています。定義を見ても何が違うんだろうという感じです。

ロコモティブシンドロームは運動器の障害により日常生活に支障が出ることに対し、サルコペニアは純粋に筋肉量が減少することを指しますので厳密には意味合いは異なります。

ロコモティブシンドロームになると廃用によりサルコペニアになる可能性もあるし、サルコペニアが起きてロコモティブシンドロームに繋がっているという可能性もありますので、両者は密接に関わっていると言えます。

ロコモティブシンドロームと子供

ロコモティブシンドロームと子供

子どもは近年、運動のやり過ぎによるスポーツ障害と、食べ過ぎによる肥満など生活習慣の乱れからくる運動不足の2極化が問題になっています。

また、子どもの肩こりや腰痛なども大きな問題となっています。

10~14歳の子供で肩こりを訴えるのは1000人中10.2人、腰痛は9.9人、手足の関節痛は14.2人。15~19歳になると肩こりが33.3人、腰痛が30.9人、手足の関節痛は12.9人

2007年国民生活基礎調査(厚生労働省より)

もちろん、スポーツによる怪我なども含まれているので単純に運動不足や生活習慣からくるものではないにしろ、この数は多いです。

将来ロコモティブシンドロームになる可能性のある、いわゆるロコモ予備軍の子どもが多くいるということですね。

例えば

  • 片脚でしっかり立つ
  • 手をまっすぐ挙げる
  • しゃがみ込む
  • 前屈する

などの基本的な動作が行えない子供が急増しています。

  • 倒立はおろか、他人の倒立を支えされない
  • ぞうきん掛けで両手で支えられず前歯を折ってしまう
  • 物をまともに投げれない

といったことも起きているようです。

インターネットが普及し、色々なことがデータ化されるようになってきたのもあるでしょうが「自分達の時代にはこんなことなかったのに・・・」と言ってしまいたくなるような事実があります。

それらの原因として

  • ゲームやインターネットの普及、外で遊び場がない→運動不足
  • 核家族化・両親共働き→3食しっかり食べれない→栄養不足・偏り

などが考えられます。

全ての子供にあてはまることではないですが、健康寿命の延長に取り組むには子供の教育場面にも介入していく必要がありそうです。

 

参考書籍

 

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