脳卒中片麻痺者の下肢装具選定で知っておくべき6つのポイント(急性期~回復期)

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理学療法士のhamako()です。

私は回復期病棟に10年勤務していますが、装具の選定はいつまでたっても難しいなと感じています。

後輩からも下肢装具の選定についての相談はとても多いしみんな悩む内容です。

講習会を開いているようなお偉い先生方でも意見が分かれているところなので、私のような凡人セラピストは悩んであたり前かなと思うのですが。

 

下肢装具処方・選定においては病院により様々だと思います。

  • リハ医師が中心となって決める病院
  • ブレースクリニックで選定する病院
  • 選定はセラピストに一任されている病院

装具を処方するのは医師ですが、選定段階でセラピストに意見を求められることは多いと思います。医師や義肢装具士に自分の意見をまとめて伝えれることは大事です。

 

近年装具療法という言葉はよく聞くかと思います。

脳卒中ガイドラインでも早期から長下肢装具を積極的に利用し、立位・歩行練習をしましょうと推奨されています。

しかし、脳卒中の症状は千差万別で、ほんとにみんな立位・歩行練習を早期からすべきなの?とか長下肢装具は値段は高いけど機能が上がってすぐカットダウン(膝より上のパーツを外し短下肢装具にしてしまうこと)することになるかもしれない・・・などなど私も含め悩んでいるセラピストは多いと思います。

そこで、今回は私の経験を元に、脳卒中片麻痺者の下肢装具選定に関する6つのポイントを書いていきたいと思います。

 

治療用装具と更生用装具

治療用装具と更生用装具は取り扱いの制度(保険)が異なります。

治療用装具

病状固定前の練習用装具など治療そのものを目的として、医師の処方のもと一次的に使われるもの

医療保険制度を利用

更生用装具

治療が終わり障害が固定(症状固定)した後の日常生活の向上を目的とした装具

身体障害者手帳労災保険を利用

 

短下肢装具・長下肢装具の耐用年数はほぼ3年となっております。

その期間内に破損した場合は原則修理にて対応、または実費での購入となります。

しかし

  • 破損があまりにもひどい場合
  • 機能の変化により装具が合わなくなった場合

には医師の意見書により補助を受けて装具を作成できる可能性があります(治療用装具・更生用装具双方に当てはまる)。

急性期・回復期の脳卒中片麻痺の方の下肢装具はほぼ治療用装具になります。症状固定がされていないので労災保険も適応されず、身体障害者手帳も作成に至っていないからです。

 

今回どちらの制度を利用し下肢装具を作成するのかは理解しておきましょう。

 

患者さんの身体機能+セラピストの技術力+装具=課題の達成

患者さんの治療において技術力は切っても切り離せない関係にあります。

技術力が高い方であれば短下肢装具で立位や歩行練習が行えても、新人や技術がまだ未熟な方は長下肢装具など固定性の高い装具を使用しなければ練習が成立しないかもしれません。

それでも全然良いのです。課題を達成したり、目的としている機能を改善できれば。

富士山も登り口が複数あるように、1人1人手段は違っても目的を達成できれば良いわけです。

 

そのため、治療用装具として用いる場合、患者さんの身体機能で評価するだけでなく、セラピストの技術力との関係性を考え装具を選定していくと良いと思います。

先輩はそんな大きなもしくは固い装具いらないと言っても、自分ではその装具では練習できないなんてこともありますからね。

 

患者とセラピストの体格差

セラピストの技術と同様考慮しなければいけないものは、体格差です。

  • 小柄な女性が大柄な男性を担当する
  • 男性が小柄な女性を担当する

などは特に考慮する必要があります。

体格差はどうしようもない要因の1つです。いくら技術が高い女性セラピストであっても重度片麻痺の男性の立位訓練をするのは容易ではないでしょう・・・

逆に男性セラピストであれば小柄な女性であれば、麻痺の程度の割に介助量は多く感じないかもしれません。

 

病院の備品は充実しているか

病院の備品も装具選定・時期に関わる重要な要因の1つです。

病院の備品が充実しており、その方の現在の機能に適合する装具があれば、身体機能の変化が大きい急性期・回復期に装具の選定を急ぐ必要はないかもしれません。

しかし、病院の備品が少ない場合、適合する装具がない場合には装具の処方時期を早める。

または、今後機能が変化しても調節可能な装具

  • 調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具(Remodeled Adjustable Posterior Strut-AFO:RAPS)
  • ダブルクレンザック継手などの両側金属支柱付短下肢装具
RAPS(Remodeled Adjustable Posterior Strut)両側金属支柱付き短下肢装具 DUAFO

          RAPS            両側金属付短下肢装具(ダブルクレンザック継手)

などが良いかもしれません。

プラスチック短下肢装具は機能変化による調整が難しいです。最初はSHBが良くても機能が向上し、2動作歩行になりタマラックなどの継手付装具が適合してもすぐに作り替えはできないというデメリットがあります。

使用する場所はどこか

実際、治療用装具といいつつも、急性期~回復期病棟に入院されている方は、入院中使用した装具を退院後も使用する場合がほとんどと思います。

装具を使用する場所はどこなのか?退院先はどこなのか?

  • 屋内
  • 屋外
  • 施設
  • サービス関係での外出先
  • 仕事場

などなど

その状況を見据えて選定することも大事です。

例えば、病院の備品がない場合、両側金属支柱付短下肢装具が調整できるし良いよと書きましたが、入院中は良いですが、退院後屋内と屋外の履き替えはどうするのか。ほとんどは靴型なんですよね。

  • 屋内はなしで歩ける?屋内用の装具を作成する?
  • 靴底を拭いて屋内でも履く?

といったような問題が出てきます。

屋内歩行は可能だけど、屋外は車いすレベルというケースであれば良いかもしれませんが、両方歩行となると・・・と迷いますね。

私の場合は重度麻痺のケースで足関節の痙性が強かったり、大柄で痙性もありプラスチック型短下肢装具では支えきれないといった場合には金属支柱を選択するケースもありますが、屋内外歩行が可能なケースであれば機能が落ち着いてきた段階で機能に合わせたプラスチック型短下肢装具を処方するケースが多いです 

プラスチック短下肢装具でも踵部分がくり抜かれているかどうかで踵接地時に股関節外旋してしまったり、起立時に滑ってしまったりといったことが変わります。

  • 屋内で車いす中心→起立の邪魔にならないように足関節固定が強くない方が良い
  • 立位で膝折れ

 

退院後の活動量

例えば80歳代で家周囲とサービスの移動が中心の患者さんと復職し、公共交通機関を利用し通勤している40歳代の型では麻痺の程度は同じだとしても退院後の活動量は全く違います。

活動量が多くなると支持性が低い麻痺側下肢の関節にかかる負担は大きくなります。特に片麻痺者は体幹・股関節は低緊張で腰が引けやすく、足関節は底屈・内反し脛骨が後方へ移動しやすいので、中間関節である膝関節は過伸展しやすくなります。

また、努力的に歩くことで上下肢ともに筋緊張が亢進し、入院時に使用していた装具では痙性を制御できないということにもなります。

そのため

  • 入院中になど長距離歩行時の歩容の変化
  • 退院後の生活様式
  • 性格・環境因子(オーバーワークしてしまいそうな性格かどうかなど)

などを評価し、装具を選定する必要があります。

 

まとめ

装具の処方は今だ議論されている内容が多くあり、これが正解ということはないかもしれません。

各装具にはメリット、デメリットは必ずあります。

しかし、この6つのポイントを考慮し選定していけば

Bestな装具は難しいかもしれないけどBetterな装具は選定できるのではないかと思います。

 

また、入院中に選定した装具が適切であったかどうかは退院後の患者さんの経過しだいなのかなと思います。

もちろん装具だけの影響ではないと思いますが、歩行や移乗動作に関して大きな影響を与えますので法人内で退院後まで継続してフォローしている病院は退院後の状況を確認するのが、一番自分の勉強になるフィードバックかと思います。

 

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